拉致された

いや、されてないんだけどさ。
一昨日、高校時代の友達二人と二年振りぐらいに会ったんだよ。
会う前に
「千葉の方へ海見に行こうぜ」
とか言われたから海見に行きにドライブしながら話するのかーって思ってたんだ。
で、夜から会うって事になってたんで、夜のうちに行って朝方帰ってくるもんだとばかり思ってたら、全然違った。
夜から会って千葉に向かったはいいんだけど、話してるうちに着いたのは、山間の町の中にあるコンテナだった。


友達に
「着いたぞ」
とか言われるけど、意味がわからない。
「は?着いたって?」
「今日はここで寝て、明日、海の方行くんだよ」
「寝るってこれどっからどう見てもコンテナっぽいんだけど」
「っぽいっつーかコンテナだから」
もうね、アホかと。馬鹿かと。
今までコンテナの中に入ってるものといえば、JR貨物密入国者だとばっかり思ってたのに、そのラインナップの中に俺が組み込まれる事になろうとは。
寝るとか言って入れられて、朝起きたらマンギョンボン号(漢字忘れた)の中に入れられてるんじゃなかろうかとか俺が考えてると、その気配を察した友達が説明してくれた。
何やら友達の親父が釣り好きで、たまに千葉の内房とかの方に釣りに行くんだけど、一泊して行ったりもするらしいから、それならいっそここらへんに土地買ってそこに仮設住宅的なものを作っちまえって事でこのコンテナを置いたとの事。
なるほど、確かによく見るとコンテナの側面には鉄格子のついた網戸付き窓が二つあったりして、人が住めるように改造してあるらしかった。


事情を飲み込めて多少安心した俺は、密入国者収容箱改め友達ん家のプチ別荘に入る事にした。
中にはカセットコンロや食器類、それにベッドやソファーなどが置いてあり、数日生活する程度なら十分な造りになっている事が判明した。
しかし、如何せん普段使わないものだから、どうしても埃っぽい。
それでも思ったよりはましな造りになっていたので、とりあえず中に入って電気でもつけようという事になった。
で、中に入ろうと思い、そこである事に気づいた。


それは、コンテナハウスの致命的弱点だった。
コンテナとかトラックの箱の中に入った事がある人なら(普通に生きていれば中々ないけど)わかるだろうが、中からはどうやったって閉める事ができないのだ。
これらは元々輸送目的で造られたものなので、中から閉めるという事を想定して造られてはいないのだった。
コンテナハウスの致命的にして最大の弱点を、友達の親父は斬新なアイディアで解決していた。
よく見ると、扉の内側の同じ高さに頑丈な太い針金が取っ手状になってついている。
友達はコンテナの中にあったホウキを掴むと、迷う事なくその取っ手に差し込んだ。
ようは、ホウキの柄を使って閂をかけたのだ。
すげぇ、すげぇぜファーザー。
こんなの映画の中で化け物に追われてる奴が逃げ込んだ先でやる時にしか見た事なかったよ。
しかも、扉は全然閉まってなくて、普通に2㎝ぐらい隙間開いてやんの。
でも、友達は
「これでよし、と…」
とか全然良くないのにほざいてんの。
まぁ持ち主がそう言うならそれを信じるしかないけどさ。
で、蚊が入ってくるけど、それは蚊取り線香を焚く事で問題解決との事。
どうやらこれで扉に関しての問題は無事終わったらしい。
俺ともう一人の友達はやや青ざめつつも久しぶりの再会を懐かしんで会話を楽しむ事にした。


そしたらまぁ二年も会ってないから話があるわあるわ。
つっても大体高校時代一緒のクラスだったあいつは今何やってるだとか猥談だとかだけどね。
結局、夜の12時過ぎから合流してコンテナハウスに着いてそろそろ寝ようかってなった5時過ぎまでの間、ずっとしゃべってたよ。


まだまだくだらない話はあるけど、明日は海の辺り行くし、もう寝とこうって事でとりあえず話は終了。
そんでもって日記も長くなりそうなのでとりあえず今日はここまでで終了。


この時点でまだ海をカケラも見ていないのは内緒。