警察密着24時

いや、実際密着したのは30分ぐらいでしたけどね。
またお巡りさんと談笑しちゃいましたよ、えぇ。
今回は友達がネットオークションで車のパーツ買って、一度は手元に届いたんですが、向こうが「塗装するからまた送り返してください」とか言い出して送り返したらバックレられたという事件が発端でした。
まぁ典型的な詐欺ですよね。
幸いな事に向こうの住所がわかっているので直接行く事になりました。
つーか、三日前にも友達一人で訪ねたらしいんですが、居留守使われたので仕方なく連絡くださいという旨を記したメモ書きを置いていっても音沙汰なしという事なので、今回俺も一緒に行く事になりました。
住所は東京の葛飾区でした。
環七を突っ走って目的地へ着くと早速訪問開始です。
電気メーターは回ってるし、電気もついてるのでいる事は確定なんですが一向に出てきません。
仕方がないので何回かピンポン押す事に。
それでも出てこないので
「電気メーター回ってんだろが!アァン?!コラァ!!」
とか怒鳴ってドア蹴っ飛ばそうかとも思ったんですが、通報されたら間違いなく一晩警察署に泊まる事になるのでやめときました。
それが後々功を奏す事になるんですね。
で、すでにこの時点でドアの前に立って5分程。
友達は早くも苛立ってますが、こういう時こそ冷静に対処です。
ここまでの間ピンポンとドアノック以外は何もしてません。声すら出していません。
冷静に対処とか言っといて俺も段々むかついてきたのである作戦に出る事に。
すなわち持久戦です。
ドアの覗き窓を指で隠して中から見えないようにした上でピンポンとノックの波状攻撃。
しかし、ノックはあくまで普通の強さで、ピンポンも時々思い出したかのように押す程度。
これでこっちが酔っているワケでもなく、冷静だっていう事が相手に伝わったはずです。
考えてみると怖いですねぇ。でも、こっちも怖くなるようにやってるんだから当たり前です。
で、それを続ける事30分あまり。
すでに友達は飽きてアパートの外の道でタバコ吸って待ってましたが、俺は続けてました。
こうなったら意地です。
そろそろドア蹴っ飛ばしてやろうかなーとか考えてた時、インターホンから応答が。
「はい…どちら様ですか?」
予想外にも女の声です。しかも軽く震えてます。
想定外の人物の登場に驚きつつも
「あ、夜分遅く(12時過ぎ)に申し訳ありません。私ですね、こちらのご主人と車の部品を取引した者なんですけど…」
とか話してると携帯がブルブル震え始めました。
見ると一緒に来ている友達からでした。
やな予感するなぁと思いつつも電話に出ると友達から
「早くその場所から逃げろ!警察行ってんぞ!」
という普通に生活してれば一生聞けないような台詞が飛び出してきました。
しかし、時すでに遅し。
電話でその言葉を聞いてる俺には赤灯だけつけたパトカーの姿が目に入ってました。
アパートのまん前にこられたので後は逃げるっつったら上の階に逃げるしかないけど、そんな事したら速攻捕まると思ったのであえてその場で待機して警官を待つ事に。
この時の気持ちをなんと表現したらいいんですかね。
犯罪者の気持ちが多少わかった気がします。
観念する時の心境とかそういったものの半分でもわかった気がしましたよ。
車から降りてきた警官二人が小走りでこちらに近づいてきます。
俺と目が合った時の警官の表情が「発砲もやむ得ず」っていう感じだったのが印象的でした。
向こうからすると俺の半身しか見えなかったので、少し距離置いてじりじりと詰め寄ってきました。
見えない方の手に凶器を持ってる可能性があると思われたのかなと思った俺は、両手が見えるようにして抵抗する様子も見せませんでした。
すると警官がゆっくり近づいてきて、笑ってない目つきで
「こんばんは」
とだけ一言。
俺も口元にだけ笑みを浮かべて
「こんばんは」
「家はこちらですか?」
「いえ、違いますね」
「今日はどうなさいましたか?」
「いや、ちょっとこちらのお宅のご主人と車の部品の取引で揉めましてね」
「取引?業者の方ですか?」
「いや、個人間の取引でです」
というようなやり取りを交わしました。
とりあえず詳しく話を聞くという事でアパート前に場所を移動したところで友達も到着。
事情を説明したところ向こうもわかってくれました。
その警官に事情を説明してると他の警官はアパートの住人へ事情を聞きに。
なんと話によると、取引した相手は仕事で家に帰っておらず、家にいたのは奥さんと子供だけだったらしい。
これは大誤算っていうか聞いてない。
それは悪い事したなぁと思っていたら、向こうの奥さんから必ず明日の夜には主人に連絡させますという確約をいただきました。
もし、それでも連絡がないようなら警察に行って詐欺事件として立件できるとの事。
警官もとりあえず今日のところはおとなしく(別に暴れたりしてないけど)帰ってくれというので帰る事に。
この時俺の行動を聞かれたけど、さっき書いたように捕まるような事はしていないので警官もすぐに解放してくれました。
あー、ナイス判断だったなぁ。
とりあえずまた進展があればなんか書きますね。